同窓生の記憶から消えていた醜態だらけの幹事は、卒業間近に来た転校生でした。

都内のシティホテルで中学時代の同窓会がありました。中学を卒業し高校へ進学をした当時は事ある毎によく会っていた友人とも、30歳を超えた現在は年に一度の年賀状でのご挨拶程度です。中学時代の同窓会が開かれるお知らせはハガキで届きましたが、幹事は私には覚えのない名前が書かれていました。中学時代の親友から電話を貰い同窓会に出席をする相談をしましたが、幹事の男性のことは彼女も覚えていなかったのです。中学を卒業し「20年近い月日が流れたので忘れてしまっている人も中にはいるだろう」と幹事のことは気にせず中学時代の同窓会に出席をしました。

 

シティホテルの最上階で行われた同窓会は懐かしい顔ぶれに久しぶりに再会し「え~っ、見違えた、綺麗になったね」「あんなにモテモテだったのにどうしちゃっの、このお腹」などと絶叫に近い叫び声があちらこちらに飛び交っていました。そんな中で今回の同窓会の幹事を任された男性が挨拶に立ちました。その男性は少し頭がハゲ掛かったおじさんで「皆さん、僕のことを覚えてくれていますか。僕は卒業間近かに転校してきたあの転校生です。短い期間とはいえ、お世話になった中学時代の友人の皆様のお役に立てればと、今回幹事を買って出て同窓会を主催させていただきました。」と滑らかな口調で挨拶をしていました。

 

同窓生はあまり彼の記憶がない中でも幹事として同窓会を開いてくれた彼にお酒を注いだり、調子を合わせ冗談をいう友人もいて彼は嬉しそうにしていました。同窓会も中盤になり、幹事は大分お酒が入って泥酔状態でした。お銚子を片手に彼は私に「僕と付き合ってくれませんか。チョット不倫してみませんか。」といってきたのです。中学時代に冗談を交わした友人ならまだわかりますが、初対面に近い転校生、それもハゲ掛かった男性にいわれたくもない言葉を掛けられ気分が悪くなってしまいました。その後この男性は、次から次へと同窓生に同じ言葉を掛け女性陣から白い眼を向けられ、男性陣に別室へ連れていかれてしまいました。

 

中学時代の同窓生に覚えてもらっていなかった寂しさもあったのでしょうが、この男性の醜態は折角の同窓会を台無しにしてしまいました。