学生時代と変わらない優しい男性が素敵でした。

大学時代の友達が集まった、卒業から5年ほど経った時期に行われた同窓会のことが記憶に残っています。

 

実は学生時代にずっと片想いをしていて、告白する事ができなかった男性がいました。

 

その男性とは、大学を卒業してからずっと会っていなくて、その日が久しぶりの再会になるはずでした。

 

「はずでした」というのは、同窓会に参加予定だった彼が、なかなか姿を現さなかったからです。

 

同窓会が彼抜きで始まり、楽しい時間が過ぎていきます。

 

私は友達との再会を喜びながら、心のどこかで、大好きだった彼のことを思っていました。

 

とても優しい彼で、優しさを証明するようなエピソードは両手の指では収まらないくらいあります。

 

例えば大学3年生の秋頃、彼は大きな荷物を持って、信号の前に立っていたおばあさんをみつけて、声を掛けました。

 

もちろん彼は荷物を代わりに持ってあげます。

 

しかし信号を渡るだけだと思ったら、おばあさんの家の場所を聞き、結局電車に乗って一緒に最寄駅に行き、さらにおばあさんの家まで荷物を運んであげました。

 

私はなかば呆気に取られながら、彼と一緒におばあさんの家まで行きました。

 

おばあさんはとても喜んで、彼と私に「ご飯を食べていけ」と言いました。

 

彼と私は、おばあさんの作った美味しい煮物と、お刺身をいただき、結局ご飯を二杯も食べて、お礼を言って家を後にしました。

 

そのおばあさんと連絡先を交換し、卒業するまでに何度も遊びに行くことになりました。

 

このような奇跡を起こす優しい彼は、同窓会当日でありながら、誰かのために働いているのだろうと想像しました。

 

そして同窓会が終わる頃、彼は会場に姿を現しました。

 

人気者の彼に、みんなも私も駆け寄ります。

 

そして何でこんなに遅刻をしたのかという話題になりました。

 

彼は困ったような顔になり、何度もごめんと言った後にこう言いました。

 

「会社を出たら、子どもが迷子になっててさ…」。

 

彼は学生時代と少しも変わらない、素敵な男性のままだったので、私は少し泣いてしまいました。